RAGとは検索拡張生成の仕組みと業務で使うときの注意点
RAG(検索拡張生成)とは、生成AIが回答する前に、信頼できる資料を検索して参照させる仕組みです。AWSの公式解説をもとに、仕組み・利点・導入前の確認点と、誤りを完全には防げない点を整理します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
RAGとは
RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)とは、大規模言語モデル(LLM)に回答させる前に、信頼できる知識の資料を検索して、その内容を参照させることで、出力を良くする仕組みです。AWS の公式解説では、LLM の出力を最適化するプロセスで、応答の生成前に、学習データの外にある信頼できる知識ベースを参照するものと説明されています。
生成AIは、学習した時点までの知識で答えるため、社内の規程や最新の情報は知りません。また、知らないことを、もっともらしく作ってしまう(ハルシネーション)性質もあります。RAG は、必要な資料を、その場で与えることで、これらの問題を軽減する方法として使われています。
基本(仕組みと利点)
AWS の解説では、RAG の流れは、次の4段階で説明されています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 資料の準備 | 外部のデータを、数値の表現(ベクトル)に変換して、専用のデータベースに保存する |
| 2. 検索 | 利用者の質問に関連する情報を、データベースから探す |
| 3. 付加 | 見つけた情報を、質問と一緒にモデルへ渡す指示(プロンプト)に加える |
| 4. 更新 | 外部のデータを、定期的に更新して、鮮度を保つ |
公式解説が挙げる主な利点は、次のとおりです。
| 利点 | 内容 |
|---|---|
| コスト | モデルを再学習させずに、新しいデータを使える |
| 鮮度 | 最新の情報源につなげて、最新の内容を答えられる |
| 信頼性 | 出典つきで答えを示せるため、利用者が確認しやすい |
AWS は、LLM が抱える「存在しない情報を示す」「古い情報を返す」といった問題を、RAG が軽減すると述べています。ただし、軽減であって、解消ではありません。Anthropic のドキュメントも、資料に基づく引用や、出典の確認で誤りを大きく減らせるが、完全にはなくせないため、重要な情報は必ず検証するよう注意しています。
RAGの具体例
業務での使い方の例です。
| 場面 | 参照させる資料 | 期待する効果 |
|---|---|---|
| 社内の問い合わせ対応 | 就業規則、手続きの手引き | 最新の規程に基づいて答える |
| 製品のサポート | マニュアル、よくある質問 | 製品の仕様に沿った回答 |
| 契約書の確認の補助 | 契約書のひな形、社内の基準 | 該当する条項を探しやすくする |
| 営業資料の作成 | 製品情報、事例集 | 事実に基づく下書き |
RAG を使っても、検索で関連する資料が見つからなければ、答えの質は落ちます。つまり、品質は、資料の整備と検索の精度に依存します。
効果の見積もりの例です。社内の問い合わせが月に200件あり、1件の回答に10分かかっているなら、合計2,000分(約33時間)です。RAG で下書きを作り、人が確認する形で、1件あたり6分に短縮できれば、200 × 6 = 1,200分で、800分(約13時間)の削減です(仮定の数値)。確認の工程は残ります。
RAGの実践ステップ
- 対象の業務と、参照させる資料の範囲を決める。
- 資料の内容が最新で、正確かを確認する。古い版や、矛盾のある資料は整理する。
- 資料の公開範囲(誰が見てよいか)を整理し、権限に応じた参照ができるか確認する。
- 小さな範囲で試し、回答が資料の内容と合っているか、人が確認する。
- 回答に、根拠となる資料を示す形にして、利用者が確認できるようにする。
- 資料の更新の担当と周期を決める。
- 誤りが見つかった場合の、報告と修正の流れを作る。
RAGの注意点
- RAG を使っても、誤りはなくなりません。重要な回答は、根拠の資料を確認します。
- 機密情報を資料に入れる場合は、アクセスの権限を厳密に設計します。本来見られない人が、AI経由で見られてしまうと、情報漏えいになります。
- 資料が古い、または矛盾していると、誤った回答の原因になります。
- 提供するサービスや、データの扱いは、事業者ごとに異なります。公式の説明と契約を確認します。
- 機能や名称は、更新されます。最新の公式の情報を確認してください。
RAGでよくあるミス
- 資料の整備をせずに導入して、回答が不正確になる。
- 権限を考えず、全社員が全資料を参照できる状態にする。
- 根拠を示さず、利用者が確認できない。
- 資料の更新を怠り、古い情報で答え続ける。
RAGのチェックリスト
- 参照させる資料の範囲と、正確さを確認したか。
- アクセス権限を、設計したか。
- 回答に、根拠の資料が示されるか。
- 資料の更新の担当と周期があるか。
- 人が確認する手順があるか。
RAGのFAQ(よくある質問)
Q. RAG とファインチューニングは、何が違いますか。
A. RAG は、回答のたびに資料を検索して参照させる方法です。ファインチューニングは、モデル自体を追加で学習させる方法です。AWS の解説では、RAG はモデルの再学習が不要で、費用を抑えやすいと説明されています。
Q. RAG を使えば、誤りはなくなりますか。
A. なくなりません。軽減はできますが、重要な内容は検証が必要です。
Q. 自社で作る必要がありますか。
A. 提供されるサービスを使う方法もあります。データの扱いと、費用、権限の管理を比べて決めます。
筆者の見解(RAG)
RAG は、AI の賢さを足す技術というより、資料の質を、そのまま回答の質にする技術だと考えます。そのため、導入の成否は、モデルの選択より、資料の整理と権限の設計で決まる場面が多いはずです。私見では、最初から全社の資料を対象にせず、1つの業務の資料に絞って、回答を人が確認しながら、整備と検索の改善を重ねる進め方が、安全で確実です。
RAGの関連項目
- 生成AIに入力してよい情報の線引き
- ChatGPTの使い方
- Notion AI
出典(一次情報)
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