WBSとは作り方とツールの選び方
WBS(作業分解構成図)の意味、作り方の手順、粒度の決め方を整理します。表計算ソフトで足りる場面と、専用のWBSツールやガントチャート機能を選ぶ基準も解説します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
WBSとは
WBS(Work Breakdown Structure、作業分解構成図)とは、プロジェクトで必要な作業を、大きなまとまりから細かい作業へと、階層的に分解して整理したものです。「何をやるか」を漏れなく洗い出すことが目的で、日程の表そのものとは別のものです。
分解した作業に、担当者、工数、期間を割り当てると、スケジュール(ガントチャート)や進捗管理に使えます。WBSを先に作っておくと、見積もりの根拠が示しやすく、作業の抜けや、担当の重複にも気づきやすくなります。
「WBSツール」という言葉で検索される場合の多くは、階層構造の作業を管理し、ガントチャートで日程を見られる道具を探しています。この記事では、WBSの考え方と、ツール選びの判断基準を整理します。
基本(作り方)
分解するときの代表的な考え方です。
| 考え方 | 内容 |
|---|---|
| 成果物ベース | 作るもの(成果物)を基準に分ける。例:設計書、画面、テスト結果 |
| 工程ベース | 作業の段階を基準に分ける。例:要件定義、設計、開発、テスト |
| 100%ルール | 下位の作業を合計すると、上位の作業の全体になること。漏れも余分もない |
| 階層 | 例(Webサイト制作) |
|---|---|
| レベル1(プロジェクト) | コーポレートサイトの制作 |
| レベル2(工程) | 企画、デザイン、実装、テスト、公開 |
| レベル3(作業) | トップページのデザイン、フォームの実装、表示確認 |
最も細かい単位を、ワークパッケージと呼ぶことがあります。担当者が1人で、見積もりができて、完了の判断ができる大きさを目安にします。
WBSの具体例
WBSの下位の作業に工数を割り当てて、合計を見積もる例です。
| 作業 | 工数(人日) |
|---|---|
| 要件の整理 | 3 |
| トップページのデザイン | 4 |
| 下層ページのデザイン | 6 |
| 実装(共通部品) | 5 |
| 実装(各ページ) | 8 |
| 表示確認と修正 | 4 |
| 合計 | 30 |
合計は 3 + 4 + 6 + 5 + 8 + 4 = 30 人日です。2人で並行して進められる作業が半分あると仮定しても、単純に15日ではなく、作業の依存関係(デザインが終わってから実装、など)で変わります。この依存関係を見るために、ガントチャートが使われます。
ツールの選び分けの例です。
| 状況 | 向いている選択 |
|---|---|
| 作業が数十件までで、1人か少人数 | 表計算ソフトや、手書きの表 |
| 親子関係と日程を見たい | ガントチャート機能のあるタスク管理ツール |
| 工程の依存関係が複雑で、複数案件を並行 | 専用のプロジェクト管理ツール(機能の有無を確認) |
| 開発の課題を、課題の単位で管理 | 課題管理ツール(Jira、Backlog、Redmine など) |
WBSの実践ステップ
- プロジェクトの目的と、完成の条件を書く。
- 成果物か工程のどちらで分解するか決める。
- 大きなまとまりから、1段ずつ分解する。
- 最も細かい作業に、担当者と工数を決める。
- 作業同士の順番(依存関係)を整理する。
- 100%ルールで、抜けや重複を確認する。
- 進捗に応じて、定期的に更新する。
WBSの注意点
- 細かく分けすぎると、更新の手間が増えます。担当者が1日から数日で終えられる粒度を目安にします。
- 見積もりは、実績と比べて見直す仕組みがないと、精度が上がりません。
- ツールにも、階層の深さ、ガントチャートの有無、依存関係の設定の可否に違いがあります。必要な機能が、無料のプランで使えるかを確認します。
- 計画は変わる前提で、更新の担当者を決めておきます。
WBSでよくあるミス
- 作業の洗い出しに、レビューや調整の時間を入れ忘れる。
- 分解の基準が混在し、成果物と工程が同じ階層に並ぶ。
- 担当者が決まっていない作業が残る。
- 初期の計画を、更新せずに放置する。
WBSのチェックリスト
- プロジェクトの完成の条件を、書いたか。
- 100%ルールで、漏れと重複を確認したか。
- 最も細かい作業に、担当者と工数があるか。
- 依存関係を整理したか。
- 更新の担当者と頻度を決めたか。
WBSのFAQ(よくある質問)
Q. WBSとガントチャートの違いは何ですか。
A. WBSは作業の分解(何をやるか)、ガントチャートは日程の表示(いつやるか)です。WBSの各作業を、日程に並べたものがガントチャートです。
Q. WBSは必ず作る必要がありますか。
A. 小さな作業では不要なこともありますが、複数人で進めるときや、見積もりの根拠が必要なときは役立ちます。
Q. Excelで作るのは問題ですか。
A. 作業の数が少なければ十分です。更新する人が多い場合や、日程と連動させたい場合は、専用のツールが便利です。
筆者の見解(WBS)
WBSで大切なのは、きれいな図を作ることではなく、作業の抜けを事前に見つけることだと考えます。ツールの選定に時間を使うより、まず表計算ソフトでよいので、関係者と一緒に洗い出す作業を行うことをお勧めします。私見では、そのうえで日程の連動や更新の手間が負担になった段階で、ガントチャートのあるツールを検討するのが、無駄が少ない進め方です。
WBSの関連項目
出典(一次情報)
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。SaaS・ツールの機能・料金・無料枠・仕様は頻繁に更新されるため、最新の内容は各社の公式ページでご確認ください。契約・法務・セキュリティに関する判断は、専門家や社内の担当部門にご相談ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。