ノーコードツールとはできること・選び方・失敗しない導入手順
ノーコードツールとは、プログラムを書かずに業務アプリや自動化を作れるツールです。できること・向かないこと、選ぶ観点、小さく始める導入手順と、属人化や権限管理の注意点を整理します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
ノーコードツールとは
ノーコードツールとは、プログラムのコードを書かずに、画面上の操作で業務アプリやデータベース、自動化の仕組みを作れるツールのことです。kintone(サイボウズ)は、公式サイトで、現場の業務に合わせたアプリを、プログラミングの専門知識なしで作れるものとして紹介されています。Microsoft の Power Apps も、ユーザーがコードを書かずに、多機能なビジネスアプリを作れるようにするものと、公式ドキュメントで説明されています。
Excel で管理していた台帳、メールで回していた申請、紙の報告書などを、アプリに置き換えるときによく使われます。専門の開発者に頼むより、現場の担当者が作れる点が利点ですが、無計画に作ると、管理されないアプリが増えるという問題も生まれます。
基本(できることと向き不向き)
| 向いていること | 理由 |
|---|---|
| 表形式のデータの管理(顧客、案件、備品) | 項目を決めて、入力と一覧、検索ができる |
| 申請と承認の流れ | 承認の順番を、画面で設定できる |
| 定型の通知や集計 | 条件に応じた通知、自動の集計 |
| 簡単な業務アプリの試作 | 短期間で作って、試せる |
| 向かないこと・注意が要ること | 理由 |
|---|---|
| 大量の取引を、高速で処理するシステム | 性能の上限が、ツールの仕様に依存する |
| 独自性の強い、複雑な画面や処理 | ツールの機能の範囲を超える場合がある |
| 厳密な監査や認証が必須の基幹システム | ツールの仕様と、要件を確認する必要がある |
| ツールの提供が終了した場合の備え | 他のツールへの移行が難しい場合がある |
Power Apps の公式ドキュメントでは、アプリを動かすためにライセンスが必要であることや、無料で試せる期間があることが説明されています。ツールによって、料金の体系(利用者数、アプリ数)が異なるため、公式の最新の情報で確認します。
ノーコードツールの具体例
業務の例と、ツールの選び方です。
| 業務 | 作るもの | 確認すること |
|---|---|---|
| 備品の貸し出し管理 | 台帳アプリ(品名、貸出先、返却日) | 返却期限の通知の有無 |
| 経費や稟議の申請 | 申請と承認のワークフロー | 承認者の変更への対応、権限 |
| 問い合わせの管理 | 受付の台帳と、担当者の割り当て | 外部のフォームとの連携 |
| 営業の案件管理 | 案件のデータベースと、進捗の一覧 | 既存の顧客データとの連携 |
選定の観点を整理します。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 既存環境との相性 | 使っているオフィスソフト、チャット、認証との連携 |
| データの置き場所と権限 | 誰が何を見られるか、項目ごとの権限設定 |
| 費用 | 利用者数課金か、アプリ数か。人数が増えたときの増え方 |
| 試用 | 無料の試用期間で、実際の業務を試せるか |
| 継続性 | 提供元の方針、データの書き出し |
ノーコードツールの実践ステップ
- 解決したい困りごとを、1つ選ぶ(毎週繰り返す、手間の大きい作業)。
- 現状の流れ(誰が、何を、どこに入力するか)を書き出す。
- 候補のツールを2〜3個に絞り、試用で、その1つの業務だけを作ってみる。
- 小さな範囲(1チーム)で運用を始め、入力の手間と、使われ方を確認する。
- 作った人の負担を減らすため、作り方を文書にして共有する。
- 運用のルール(アプリの作成の許可、データの扱い、修正の担当者)を決めてから、広げる。
ノーコードツールの注意点
- 作った人しか分からない「属人化」が起きやすいです。作成者が異動しても、直せる体制を作ります。
- 個人情報や機密情報を扱うアプリは、権限設定と、データの保管場所を確認します。
- アプリが乱立すると、データが分散し、どれが正しいか分からなくなります。作成のルールを決めます。
- ツールの料金と機能は変わります。契約前に、公式の最新情報を確認します。
- 将来の乗り換えに備えて、データを書き出せる形式を確認します。
ノーコードツールでよくあるミス
- いきなり全社のシステムを作ろうとして、挫折する。
- 現場の入力の手間を考えずに、項目を増やしすぎる。
- 権限を広く与えすぎて、見せてはいけない情報が見えてしまう。
- 作成者以外が、修正できない。
ノーコードツールのチェックリスト
- 解決したい困りごとが、1つに絞れているか。
- 試用で、実際の業務を作ってみたか。
- 権限の設定と、データの保管場所を確認したか。
- 作成と修正の担当者が、複数いるか。
- データの書き出し方法を確認したか。
ノーコードツールのFAQ(よくある質問)
Q. プログラミングの知識は、全く不要ですか。
A. 基本的な操作には不要ですが、複雑な処理や連携では、式の書き方や、データの設計の考え方が必要になります。
Q. ローコードとの違いは何ですか。
A. ノーコードはコードを書かない前提、ローコードは少量のコードで拡張できる前提という違いがあります。詳しくは別項目で整理しています。
Q. 無料で使えるものはありますか。
A. 無料の試用期間や、制限つきの無料のプランがあるツールがあります。条件は変わるため、公式で確認してください。
筆者の見解(ノーコードツール)
ノーコードの導入では、作る技術より、作ったものを維持する体制のほうが成否を分けると考えます。簡単に作れるぶん、簡単に増え、気づくと誰も全体を把握していない状態になりやすいためです。私見では、最初の1つは小さく作り、作り方と責任者を決めたうえで広げるという順序を守ると、ノーコードの利点を長く活かせます。
ノーコードツールの関連項目
- ローコードとノーコードの違い
- kintone
- SaaSの選び方と比較の観点
- API
- Notionの使い方
出典(一次情報)
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。SaaS・ツールの機能・料金・無料枠・仕様は頻繁に更新されるため、最新の内容は各社の公式ページでご確認ください。契約・法務・セキュリティに関する判断は、専門家や社内の担当部門にご相談ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。